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犬のアトピー性皮膚炎~ステロイド~

JAYU PET

こんにちは。ペットの健康を科学で支える、JAYU PETです
前回の投稿では、犬のアトピーやアレルギー性皮膚炎の一般的な治療法として、ステロイドと抗ヒスタミンについてご紹介しました。
今回はその中でも「ステロイド」に焦点を当て、どのような作用があり、どのような副作用があるのかを詳しく解説していきます。
ステロイドは犬だけでなく、人にも広く使用されている薬であるため、正しく理解しておくことがとても重要です。
今回は、ぜひ知っておきたいポイントに絞ってお伝えします。


 

アナボリックステロイドを投与された犬

 

「犬 ステロイド」というキーワードでGoogle画像検索をすると、上記のような写真が表示されることがあります。
このように筋肉が過剰に発達した犬は、「アナボリックステロイド(蛋白同化ステロイド)」を投与されたケースです。
これは、アトピー性皮膚炎の治療で使用される「コルチコステロイド」とは、まったく異なる種類の物質です。 このような混同が起こるのは、「ステロイド」という言葉自体が非常に広い意味を持っているためです。
いずれもステロイドホルモンをもとに作られているという共通点はありますが、作用の仕組みや効果はまったく異なります。

 

 

 

1. コルチコステロイド(ステロイド)の作用
前回の投稿でもお伝えした通り、コルチコステロイド(ステロイド)にはさまざまな作用があります。
即効性のある抗炎症作用・鎮痛作用を持ち、かゆみの軽減にも非常に効果的です。
炎症によって現れる赤み(紅斑)、熱感、痛み、腫れ(浮腫)といった症状を、速やかに抑えることができます。

ステロイド注射中の犬

 

これらの作用は、体のさまざまな部位に対して発揮されます。
皮膚だけでなく、脊髄や脳の損傷によって生じる炎症反応も抑えることができるため、外傷や感染によって重度のショック状態に陥り、神経学的異常を示す犬の初期治療においても欠かせない薬剤です。

 

 

2. コルチコステロイドの副作用
このように優れた効果を持つ一方で、デメリットも存在します。
使用を検討する前に、短期・長期それぞれの副作用について理解しておくことが重要です。

 

 

2-1. 短期的な副作用
ステロイドは高用量で投与された場合、免疫機能を低下させる「免疫抑制作用」を示します。
そのため、アトピーのような自己免疫異常による疾患には有効に使用されます。
しかし一方で、この免疫抑制作用によって、細菌や真菌(カビ)などの感染に対する抵抗力が低下します。
アトピーの犬に二次感染が起こりやすいのは、このためです。

アトピーに伴う二次感染

 

 

コルチコステロイドは、まず食欲や水分摂取量を増加させる作用があります。
その結果、尿量も増えるようになりますが、これはステロイド治療を受けている犬によく見られる副作用の一つです。
もちろん、短期間の使用で見られるこれらの症状については、過度に心配する必要はありません。

多飲・多食・多尿は、ステロイド使用における短期的な副作用です。

 

 

2-2. 長期的な副作用
ステロイドを長期間使用した場合に生じる副作用は、短期的なものとはまったく次元が異なります。
長期にわたる使用は、体のほぼすべての臓器に影響を及ぼし、犬の生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。

 

 

 

 

また、肝機能の数値や白血球数、甲状腺ホルモンの数値などにも影響を与えるため、他の疾患と誤診される原因になることもあります。
さらに、短期・長期を問わず、ステロイドは血中ホルモンバランスに大きな変化をもたらします。
そのため、慢性的なステロイド投与による影響を正しく評価するには、投与を中止してから4〜8週間後に血液検査を行う必要があります。
特に長期持続型(効果がゆっくり現れ、長く持続するタイプ)のステロイドの場合、薬効が6〜8週間持続するため注意が必要です。

 

 

長時間作用型のコルチコステロイド

 

また、ステロイドは広く使用されているNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やフェノバルビタールなど、他の薬剤との相互作用によって副作用が生じる可能性もあります。

 

 

コルチコステロイド長期使用による副作用

・高血圧、ナトリウム・水分貯留などの心血管系障害
・ニキビ、感染症、あざができやすい、皮膚の変性や菲薄化、脱毛
・不妊、成長障害、流産などの内分泌・生殖器系異常
・消化管出血、潰瘍、膵炎、穿孔などの消化器障害
・感染に対する抵抗力の低下、貧血、血小板減少
・高脂血症、脂肪肝、肥満などの代謝異常
・骨粗しょう症、筋萎縮、軟骨破壊などの運動器系の弱化
・攻撃性、抑うつ、過活動、嗜眠などの行動異常
・緑内障や白内障などの眼科疾患
・血栓塞栓症や肺血栓などの呼吸器障害
・発作、麻痺、不安などの神経系疾患

 

 

 

以上が、ステロイドを長期間使用した場合に見られる主な副作用です。
そのため、ステロイド治療を受けている犬は、2か月に一度を目安に各種検査を行い、これらの副作用が現れていないか継続的に確認することが重要です。
状態に応じて投与量を調整したり、治療計画を見直していく必要があります。

 

 

長期にわたってステロイド治療を受けている犬は、そうでない犬と比べて寿命が短くなる傾向があります。
根本的な原因へのアプローチや他の治療法を試さないまま、生涯にわたってステロイドを処方され続けるケースを見ると、非常に残念に感じます。
残念ながら、多くの飼い主が「かゆみをすぐに抑えたい」という理由から、安易にステロイドを選択してしまうことがあります。
それは副作用への理解不足である場合もあれば、その即効性と高い効果ゆえでもあります。>br> しかし、ホリスティック獣医学の考え方では、他の治療法を十分に試した上で効果が得られなかった場合、あるいは安楽死以外に選択肢がない場合に限り、長期的なステロイド投与が検討されます。

 

鍼治療中の犬

 

今回この投稿をした理由は、「ステロイドを絶対に避けるべき」と伝えたいからではなく、正しい情報を知っていただくためです。
愛犬がアトピーに悩んでいる場合、単にステロイドを長期間使用するだけでなく、より良い治療の選択肢が存在します。
アトピー治療の目的は「完治」ではなく、犬が快適に過ごせる程度までかゆみをコントロールすることです。
症状管理という視点で向き合えば、実はできることは想像以上に多くあります。

 

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